ただの「歯車」になりたくない。
中学の卒業論集に僕が残した言葉。
社会という「システム」に組み込まれるのが必然だとしても、
受動的にただ組み込まれるのではなく、「考える歯車」になりたい。
そう強く思っていた。
与えられたモデルに矢印を一本追加して統計を回して答え合わせをする。
受験勉強の延長みたいで、そんな勉強をするぐらいなら、遊んだ方がまだいい。
とにかく実学というものに興味を持てなかった。
そんな僕に1つの生きるヒントを与えてくれたのが、慶応大学で出会った樫原正勝先生である。
数字だけを追い求める、有用性だけを追い求める「マーケティング」を否定し、
目の前にある現象の「なぜ」を、そこに関わる人間の行為を「理解」しながら迫っていく。
使う本は分厚くて、とにかくしんどかったが、内容がわかったときの達成感、「ああそういうことだったんだ」
という感覚が気持ちよくて、たまらなかった。先生は僕をはじめて人間扱いしてくれた先生でもある。
樫原先生との出会いが、僕の人生を大きく変えることになった。